第13章 WAFが必要な場面

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WAFが必要な場面

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WAF は“必ず入れるもの”ではない

効くのは、未認証の通信がアプリまで届く構成 — 誰でも使える公開サイトです。

  1. 判断軸未認証の通信がアプリに届くか
  2. 前段認証社員限定なら攻撃面がほぼ消える
  3. 決まりごと規定・契約が求めるなら理屈より優先

社員限定でも WAF は要るのか

WAF は、Web アプリに届く通信の中身を入口で検査し、不正な命令文の混入といった攻撃の型を遮断する検問所です。ただし、どんなシステムにも同じだけ効くわけではありません。効き目は『どんな通信がアプリまで届くか』で決まります。

同じ社員限定のシステムでも、本人確認をアプリの中で行うのか、入口(前段)で済ませるのかで WAF の価値は大きく変わります。そして技術の理屈より先に来るのが、社内規定・契約・業界ルールという決まりごとです。

世界中から入口に届く善意も悪意も同じ道
ログイン前の通信もアプリへアプリが全部受け止める
WAF=入口の検問が効く攻撃の型を手前で遮断
入口で本人確認(前段認証)会社の認証基盤で締める
アプリには社員の通信だけ未認証は届かない
WAF なしも合理的浮いた費用は認証の強化へ

各ブロックや矢印をクリックすると、その仕組みの説明がここに表示されます。

未認証の通信もアプリに届く — だから入口の検問(WAF)が効く

この図をテキストで読む

構成図「公開サイト / 社員限定 — WAF はどこで効く?」。ブロック6個、つながり4本。 枠: 誰でも来られる(公開サイト)(ブロック3個)、社員限定(前段認証で締める)(ブロック3個)。 【ブロック】 - 世界中から入口に届く: 善意も悪意も同じ道 - ログイン前の通信もアプリへ: アプリが全部受け止める - WAF=入口の検問が効く: 攻撃の型を手前で遮断 - 入口で本人確認(前段認証): 会社の認証基盤で締める - アプリには社員の通信だけ: 未認証は届かない - WAF なしも合理的: 浮いた費用は認証の強化へ 【図の符号】青の囲み枠=境界の囲み 【流れ】 - 公開サイトの世界: 世界中から入口に届く → ログイン前の通信もアプリへ → WAF=入口の検問が効く - 社員限定+前段認証の世界: 入口で本人確認(前段認証) → アプリには社員の通信だけ → WAF なしも合理的

入れるかどうかの判断フロー

必須特に無いはい(公開)社員限定はいいいえ
決まりごと規定・契約
利用者の範囲公開か限定か
認証の場所入口か中か
システムこれから公開するもの
判断3つの問い
結論入れる / 入れない
Web システムを公開する社外向け / 社内向け
規定・契約で WAF 必須?① 決まりごとの確認
誰でも使える公開サービス?② 利用者の範囲
入口の前段認証で締めている?③ 認証の場所
WAF を入れる規定 / 公開サービス
まず前段認証を検討WAF はその次
WAF なしで運用浮いた費用は認証と鍵の管理へ

各工程・分岐・レーンをクリックすると、その仕組みの説明がここに表示されます。

この図をテキストで読む

業務フロー図「WAF を入れるかの判断フロー」。レーン3本、工程7個。 【レーン(担当)】(左から右) - システム: これから公開するもの - 判断: 3つの問い - 結論: 入れる / 入れない 【工程】(上から下へ。担当 → 工程名) ── フェーズ: 決まりごと(規定・契約) ── 1. システム: Web システムを公開する〔開始・終了〕(社外向け / 社内向け) 2. 判断: 規定・契約で WAF 必須?〔分岐〕(① 決まりごとの確認) 必須 → WAF を入れる 特に無い → 誰でも使える公開サービス? 3. 結論: WAF を入れる〔開始・終了〕(規定 / 公開サービス) ── フェーズ: 利用者の範囲(公開か限定か) ── 4. 判断: 誰でも使える公開サービス?〔分岐〕(② 利用者の範囲) はい(公開) → WAF を入れる 社員限定 → 入口の前段認証で締めている? ── フェーズ: 認証の場所(入口か中か) ── 5. 判断: 入口の前段認証で締めている?〔分岐〕(③ 認証の場所) はい → WAF なしで運用 いいえ → まず前段認証を検討 6. 結論: まず前段認証を検討〔開始・終了〕(WAF はその次) 7. 結論: WAF なしで運用〔開始・終了〕(浮いた費用は認証と鍵の管理へ)

決まりごと → 利用者の範囲 → 認証の場所、の順に確かめます。

場面別の早見表

入れる価値が高い
検問が本領を発揮
未認証の通信が全部アプリに届く
入れる寄り
実質は公開と同じ
誰でも会員になれる=入口は開いている
省略も合理的
浮いた費用は認証強化へ
未認証が届かず攻撃面がほぼ無い
まず前段認証を検討
WAF はその次
ログイン前の通信がアプリに届く
入れる
決まりごと優先
技術の理屈より規定が先

各セルをクリックすると、その意味や詳しい説明がここに表示されます。

この図をテキストで読む

比較表。2列 × 5行。 【列】 1. WAF の要否(目安) 2. 決め手(何で決まる?) 【比較】(観点ごとに) ■ 誰でも使える公開サイト - WAF の要否: 入れる価値が高い / 検問が本領を発揮 - 決め手: 未認証の通信が全部アプリに届く ■ 会員制(自分で登録できる) - WAF の要否: 入れる寄り / 実質は公開と同じ - 決め手: 誰でも会員になれる=入口は開いている ■ 社員限定+前段認証 - WAF の要否: 省略も合理的 / 浮いた費用は認証強化へ - 決め手: 未認証が届かず攻撃面がほぼ無い ■ 社員限定・アプリ内認証のみ - WAF の要否: まず前段認証を検討 / WAF はその次 - 決め手: ログイン前の通信がアプリに届く ■ 規定・契約で WAF 必須 - WAF の要否: 入れる / 決まりごと優先 - 決め手: 技術の理屈より規定が先

自分のシステムに近い行をクリック。要否はあくまで目安で、最後は規定と費用対効果で決めます。

決まりごとが技術論より先

ISMS の認証や監査、親会社・取引先からのセキュリティチェック、カード決済の業界ルール(PCI DSS)などで WAF が求められることがあります。決まりごとにあるなら、構成にかかわらず入れるのが正解です。逆に社内で規定を作る側なら、『未認証の通信がアプリに届く構成では必須』のように条件付きで書くと、社員限定の小さなシステムにまで一律の費用をかけずに済みます。

費用はホスティング代を上回りうる

クラウドのマネージド WAF は、方式にもよりますがおおむね月数百円〜数万円かかります。社員限定の小さなシステムなら、アプリ本体の運用費より WAF のほうが高くつくことも珍しくありません。前段認証で攻撃面を消せる構成なら、その費用を多要素認証や鍵の管理に回すほうが、全体の守りは固くなります。

WAF は認証の代わりにならない

WAF が見るのは通信の中身の『型』で、相手が誰かは確かめません。ログインや多要素認証の代わりにはならず、逆もまた然りです。また入れて終わりでもなく、検知ルールの更新や、正しい通信を止めてしまう誤検知の調整という運用が続きます。認証・鍵の管理という土台の上に重ねる一枚として考えます。

押さえておきたい用語

WAF(Web Application Firewall)
Web アプリに届く通信の中身を検査し、攻撃の型を入口で遮断する防火壁。多くのクラウドが月額のサービスとして提供する。
前段認証
アプリの手前(入口)で本人確認を済ませ、未認証の通信をアプリに届かせない方式。クラウド各社が標準機能として提供する。
SQL インジェクション
入力欄にデータベースへの命令文を紛れ込ませる代表的な攻撃。WAF が遮断する『攻撃の型』の代表例。
攻撃面(アタックサーフェス)
攻撃者が触れられる場所の総量。前段認証は検問を強くするのではなく、攻撃面そのものを減らす対策。
ISMS
会社としての情報セキュリティの決まりごとと運用の仕組み。認証取得や監査の中で WAF の要否が問われることがある。
PCI DSS
カード決済を扱うシステムに適用される業界ルール。公開 Web アプリには WAF などの防御策が求められる。
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